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スター主義経営:プロが集まるパートナー制の組織とは

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最近就活の話題ばかりですみませんf^^;
私は外資系の経営戦略コンサルティングファームとやらも受けているのですが、
「そもそも経営のプロである彼らは自分達の会社の経営はどうしているのか」
興味が沸いたので以下の本を読みました。

スター主義経営―プロフェッショナルサービス・ファームの戦略・組織・文化
ジェイ W.ロッシュ トーマス J.ティアニー 山本 真司
東洋経済新報社 (2007/11)
売り上げランキング: 62517
おすすめ度の平均: 3.0

3 まずまずかな うまくゆっている例に刺激されやる気になりそうだが・・・

プロフェッショナルサービス・ファームはパートナー制という組織体系を取っており、いわゆるトップダウン式とはまた別の運営組織なのですが、でもこれ、企業の今後の目指すべき組織体系に必要なエッセンスが多く含まれています。

パートナー制なんて人数が高々100人程度の組織でしか成り立たないんじゃないか、たしかに少数精鋭に適した組織体系だとは思いますが、大規模な組織でも適用できる部分がちらほら。

というのも、1994年に陸軍が提唱した「Force XXI(21世紀の軍隊)2」というビジョンを見てみると、あれだけ大きな組織を個人主導型にして成果を上げた、多くの変革が描かれています。

» REALCOM Quarterly VISION – 自己変革組織の実現による現場力強化

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各部隊がネットワークで結びついたネットワーク型組織に変化、直属の上官以外にも他の部隊とのコミュニケーションラインが張り巡らされており、従来トップに集中していた情報は組織全体で共有される。また、これまで本部だけが持っていた権限、例えば「ロケット砲を発射する権限」も末端の兵士に委譲、各兵士がリーダーとしての権限を持ち、目の前のチャンスを生かして戦闘に挑む。単に上官の指示に従っていればよかった時代とは異なり、各部隊の兵士には他の部隊と直接コミュニケーション・調整を行ったり、自分で情報を収集・判断した上で自律的に行動を決めたりといった高度な能力が求められる。それは、20世紀の「ピラミッド型軍隊」を超えた「21世紀の軍隊」であった。
今回のイラク戦から投入された「ランドウォーリアー」と呼ばれる完全情報武装化した兵隊は、各自が携帯情報端末を持ち、モニターには戦場のすべての情報が表示され、兵士は瞬時に状況判断できるようになった。このSFのような世界が、21世紀の兵士の姿なのである。

さて、ここで私が言いたいのは、プロフェッショナルサービス・ファームが掲げている「個々の能力を最大限に発揮して、組織全体で成果を挙げるための組織」も米国陸軍のように、大規模な組織でも可能ということです。

この本を読めば

・個々の能力を最大限発揮する組織とは?
・いかに優秀な人材をそろえるか?
・優秀な人材を取り仕切るリーダーに必要なことは?

といった経営者の永遠の課題のヒントが得られるかもしれません。

以下、私が印象に残った部分を列挙・コメントしたいと思います。

※そもそも私は『スター』を、卓越した個人の能力を持ちながら、チームワークを重視しファームの利益を最優先で考えられる人物、と定義します。

私が、初めて経営コンサルティング業界に足を踏み入れたときに、教えてもらったプロフェッショナルの定義は、必要条件としては、その道の専門性で卓越した仕事能力を持っていることと教わった。しかし、それだけでは、専門家と変わりは無ない。プロフェッショナルの十分条件は、個として、自立し、組織を離れても自らの力でクライアントと対峙して食べていけることであると教わったよ。

このようなプロ意識というのはあらゆる職に必要なのではないでしょうか。
もちろんジェネラリストを目指す方は別だと思いますが、プロを自負するからには会社の看板を超えたときにも評価されるだけのスキルが必要ということですね。

『調和』の取れたファームは競争に勝ち抜き、強固な財務体質を誇り、業界のリーダーとなるんだよ。

自立し、専門性のスキルに優れ、クライアントとのリレーションシップ作りにも長けたようなスター社員の『自分のやりたいこと』と、『組織の目指す方向性』が『調和』している、すなわち、経営戦略の面でのスターと組織の調和だな。

すばらしいファームでは、レインメーカーよりもスターメーカーを重視する。
レインメーカーとは、会社に契約をもたらす(雨によって地を潤すことから)存在で、利益の中心的存在となりますが、スターメイカーは、そういった利益をもたらすと同時に、若手を育てることに長けた人物のことです。
レインメーカーがファームを去ればそれだけで大打撃ですが、スターメーカーは会社に多くの利益をもたらす存在を作り出せるという点で、長期的に考えればより大きな収益に繋がる。
以上の文は、スターメーカーは、上手に調和を作り上げることが出来る、ということを表現しています。

ほとんどのファームでは、欲しかった採用候補者が入社しなかったり、若手アソシエイトが辞めていったりすることを、仕方ない現実だと考えている。 ~ しかし、卓越したファームでは、新しい人材を取り損ねたり失ったりすることを、良いクライアントを獲得し損ねたり失ったりすることと同じくらい幹部が心配し、それを防ぐためには同じくらい多大な努力を払うのである。

スターになりうる存在を加えられるか否か。
これがスターを中心に考えたファームで最も重視しないといけない項目のようです。

若手プロフェッショナルはそれぞれ特有のニーズを持ってはいるが、一般的に共通する要素もいくつかある。
①学ぶことへの強い意欲を持っている。
②常にキャリアの選択肢を持ちたいと思っている。
③ファームとの連帯感と仲間とのチームワークを重視している。
④プロフェッショナルとしての仕事の自立性にも価値を置いており、自分の仕事は自分の裁量で片付けるという機会を持ちたがっている。
⑤仕事と私生活のバランスを重視し、柔軟性を求める者もいる。

スターメーカーはこれらのことを十分良く分かっている。
同時にこの環境を用意すれば、彼らも応えようと一生懸命働く、ということです。
優秀な人材を獲得したい企業では、念頭に入れておくべき事項だと思っています。

PSF(プロフェッショナル・サービス・ファーム)にとって、リーダーシップとは、壮大なビジョンを提示したり感動的なスピーチをしたりすることではなく、他人を動機付けてファームの最善の利益になるようにファームの社員を行動させることなのである。

有能なリーダーは他の人々を尊敬し、信頼する。
パートナー制の経営集団というのは、一人の社長がいて権力の場所が分かりやすい、わけではなくて、パートナー間では全員がフラットな権限を持っています。(もちろんマネージングパートナーはいますが)
ですので、委員会という形で責任者を決めることが多いようです。新卒採用責任者など、持ち回りで担当したり。
つまり説得相手が上司なのではなく、同僚なので、お互いの信頼を重要視しているのです。

もちろんコメント部分に関しては私の感想なので、本書で述べられていないこともあるかもしれませんが、少なくとも私はこのように感じました。

とは言え、Amazonのレビューでもあるとおり、成功事例ばかり並べられていて、本当にそうなの?と感じる部分もあります。

ですので、全てを自分の会社でも実行できるか、というと微妙なラインではありますが、フラットな組織を目指す組織の方々には、何かしら得られるものがあるかと思います。

私も小規模ながらパートナー制の組織運営に携わっているので中々参考になりました。


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